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実践事例

世界一のサッカーロボット「VisiON」と制御技術
テーマ名
世界一のサッカーロボット「VisiON」と制御技術
実施学校情報
学校名 大阪府立枚方なぎさ高等学校
学年 高校1年生
生徒数 120名
実施日 2004年10/26(火)・11/2(火)
合計授業時間 100分
教科・単元 教科:情報A
単元:(4)情報機器の発達と生活の変化
    イ 情報化の進展が生活に及ぼす影響
授業概要 【1時限】
〜ロボットに命令し、動かしてみよう〜
人体との比較により、ロボットの制御機能の基本であるセンサーとコンピュータ、モーターの関係を理解するとともに、モーション編集ソフトを使って実際のロボットを動かすことで、一連の運動があらかじめ定義された個々のモーションの集合体であることを理解する。

【2時限】
〜最新ロボットって?私たちの生活はどう変わるかの考えてみよう〜
完全自立型ロボットの特徴であるセンサーとコンピュータの関係(認知システム)と動きを判断するにあたっての手順(アルゴリズム)の基本を理解する。現在開発されている様々なロボットの特徴を学習することで、産業や私たちの暮らしにどのような影響を及ぶのか、社会や生活がどう変わっていくのかについて考察する。

授業のねらい ロボットという実態のある対象物を通じて、「コンピュータによる制御技術」の実際を体験、考察するとともに、高度に発達した情報技術が産業や生活にどのように関わり、影響を与えていくかについての理解を促す。また、新しい情報産業社会への挑戦心を養うこと目標とする。


授業内容(1時限目)
実施単位 1時限目
テーマ ロボットに命令し、動かしてみよう
実施場所 大阪府立枚方なぎさ高等学校 大講義室
実施時間 50分
講師 ヴィストン株式会社代表取締役 大和信夫
使用教材 (1) ヒューマノイドロボット「ロボビーM」
(2) モーション編集ソフト「ロボビーメーカー」
(3) パワーポイント教材「世界一のサッカーロボットVisiONと制御技術」
(4) 動画1(TV番組)
(5) 動画2(ロボカップダイジェスト)

授業の進行・内容 授業の様子

■進行
1 PP教材とTV映像を使って、ロボカップ世界大会で優勝したVisiONのプロフィールを紹介するとともに、VisiONのデモンストレーションを行う。

2 PP教材を使って、VisiON(完全自立型ロボット)の歴史的な位置付けや人体と対比(目・三半器官、脳、筋肉)してのセンサー、コンピュータ、モーターの機能を説明する

3 本物のロボット「ロボビーM」とモーション編集ソフトを使って実際のロボットのモーションづくりを体験してもらう。最後にモーションづくりから自立運動へと話を発展させ、2時限目に繋げる。

■内容
志願した2人の生徒に編集ソフトでロボットを動かしてもらう。はじめは単一の動き「手をあげる」から、「手首を右にふる」といった新たな動きを追加し、連続させていく。「手を振る」といった動きが、アニメーションのように一つ一つが連続的した動きであることを実感する。



(1)ロボカップを紹介



(2)産業ロボットを映像を見る



(3)ロボビーMを動かす生徒



VisiONと一緒に記念撮影

■改善点
導入時に講師が自分のプロフィールを紹介



授業内容(2時限目)
実施単位 2時限目
テーマ 最新ロボットって?私たちの生活はどう変わるのか考えてみよう
実施場所 大阪府立枚方なぎさ高等学校 大講義室
実施時間 50分
講師 ヴィストン株式会社代表取締役 大和信夫
使用教材 (1) ヒューマノイドロボット「ロボビーM」
(2) モーション編集ソフト「ロボビーメーカー」
(3) パワーポイント教材「世界一のサッカーロボットVisiONと制御技術」
(4) 動画3 画像センサー
(5) 動画4 キーパー1
(6) 動画5 キーパー2
(7) 動画10 公共広告機構CM
(8) ワークシート2
授業の進行・内容 授業の様子

■進行
1 1時限目の復習を兼ねて、本物のロボット「ロボビーM」とモーション編集ソフトを使って実際のロボットのモーションづくりを体験してもらう。

2 センサー映像を使って、ロボットの眼からボールがどのように見えるか、ロボットの認知メカニズムを説明する

3 キーパー映像を使って、VisiONがどのように判断してボールをセーブしているかを生徒に考えてもらったのち、アルゴリズムの定義へと導く。

4 最先端のロボットの写真を生徒に見てもらい、その用途や目的を推理。さらに、インターネットにて、医療、ペット、レスキューなど様々な最先端ロボットを紹介したのち、近未来における私達の生活とロボットの関係について考察する。

■内容
概念的に難しいアルゴリズムを解説するため、「スキヤキの作り方」、「恋愛の方法」など日常的な事例を示し、普段の行動にもアルゴリズムがあることを強調した。最先端ロボットの学習では、インターネットに接続し、現在、研究開発中の様々なロボットを紹介し、その役割の多様さ、特に生活に密着した役割に気づいてもらった。

(1)ロボットの動かし方を復習



(4) インターネットで最先端ロボットの映像を見る生徒



■改善点
生徒の理解度にあわせて、アルゴリズムの例題研究はやめ、「恋愛の方法」事例などをもとにアルゴリズムの定義に絞った。
先端ロボットのバラエティを多くした。



授業の成果

アンケート結果から授業効果は高ったと考えられる。
・ 「講師の教え方」については、95%の生徒が「大変わかりやすかった」または「わかりやすかった」と回答
・ 「教材」については、94%の生徒が「大変わかりやすかった」または「わかりやすかった」と回答
・ 「授業内容の理解度」については、90%の生徒が「とても理解できた」または「大体理解できた」と回答
・ 「再受講の希望」については、88%の生徒が「ぜひ受けたい」または「受けたい」と回答
・ 学習テーマが比較的高度な内容であったにも関わらず、「とても理解できた」または「大体理解できた」と回答した生徒比率が90%であったことは予想以上の結果である。

授業実施環境 持ち込みパソコンがインターネットに接続可能な回線
プロジェクター2台(1台は教材投影、1台はデモ用ロボット投影)
使用機材
教材1 ロボビーM
教材仕様 ヒューマノイドロボット(市販品)
軸自由度 22軸
重量  1.9kg
全高  290mm
ヴィストン社販売
内容 デモ用装置に設置し、全身の動きがわかるように提示。
教材2のソフトでモーションをコントロール
教材2 ロボビーメーカー
教材仕様 モーション編集ソフト
GUIによるモーション編集ソフト
上記ロボビーMに附属して販売
内容 コントロールPCにインストールし、モーションデータを作成し、有線で ロボットにデ−タをダウンロードし、ロボットを作動させる。
教材3 パワーポイント教材「世界一のサッカーロボットVisiONと制御技術」
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)
画面数  44
データ量 2.19MB
内容 授業全般を通じて使用
授業プラン1とプラン2共通
但し、使用画面は異なる
教材4 動画1
教材仕様 Mpeg
データ量  18.3MB
時間    3分25秒
内容 VisiONを紹介したTV番組
授業導入部分に使用
※著作者の意向により公開不可
教材5 動画2
教材仕様 Mpeg
データ量  80.1MB
時間    1分54秒
内容 ロボカップinリスボンでの映像ダイジェスト
1時限目最後に使用
※著作者の意向により公開不可
教材6 動画3
教材仕様 Mpeg
0.3MB
時間    2秒
内容 画像センサーから見たボールの転がり方
画像センサーの説明で使用
教材7 動画4
教材仕様 Mpeg
0.8MB
時間  8秒
内容 キーパー映像1
ボールの転がる方向に向かってダイビングするVision
アルゴリズム学習で使用
教材8 動画5
教材仕様 Mpeg
14.2MB
時間  19秒
内容 キーパー映像2
ボールの転がる方向に向かって、3パターンのセーブ方法をとるVision
アルゴリズム学習で使用
教材9 動画10
教材仕様 Mpeg
78.7MB
時間  1分46秒
内容 公共広告機構CM「やったろう!関西!ロボット編」
新しいロボット開発に取り組む関西のベンチャー企業。その挑戦心をアピール
※著作者の意向により公開不可
教材10 ワークシート2
教材仕様 ワードファイル
0.3MB
内容 キーワード書き込み方式のプリント
アルゴリズム、センサーなど
※著作者の意向により公開不可
授業協力メンバー
授業実施担当者 ヴィストン株式会社
代表取締役
大和 信夫
授業実施補助 NPO法人MEF
資料写真撮影 NPO法人MEF
授業の感想 授業実施者
・ 授業技術の点で未熟。もっと勉強しなければ。

担任の先生
・ 全クラスをまとめたのは失敗だった。後ろの生徒がよく見えなかったせいか、騒がしかった。

生徒
・ 「ロボットに興味をもったし、今までのロボットに対する印象が全然変わった。ロボットを作るひとはすごいと思う。未来が楽しみだ。」
・ 「別に動くのは普通だと思っていたけど、実際に動いているのを見たら、感動した。」
・ 「もっと受けたかったなあー」
・ 「今まで普段の授業はあまり好きじゃないので、特別授業とかいうのがあっていいと思いました。」
・ 「授業では味わえない新鮮さが魅力的だった。興味がもてた。全然知らなかった知識がもてた。技術がすごく進んでてびっくりした。」
・ 「自身の体験談を言ってくれたりして、とても面白かったです。」
・ 「ロボットに接する機会なんてなかったのでなんだか新鮮でした。でも少しわかりづらい部分(専門的というか、何というか・・・・)があったので、少し悔しい気持ちがしました。

授業情報提供者
・ 回数をこなすたびにこなれてきた感じ。ただ、通常カリキュラムの一環として行っているためか、以前、授業計画や教材による束縛感をやや感じる。

オブザーバ
・「前回に続き、ロボットの最新レヴェルに驚いています。介護や警備など幅広く活躍できる分野が多くあるので期待できますね。これらの技術を目のあたりにして、生徒たちには大きな刺激になったと思う」
・「まず概略を説明し、細部を話すという構造は初心者にとってわかりやすい。細部もよく検討され、不要な部分がないよう工夫されていた。次への展開に期待を持たせるような伏線があちこちに作られていた。」
・「大変、知的刺激に満ちた授業でした。」
・「映像を見せながらの授業は生徒の集中力をアップさせるのに大変有効だと思いました。取り扱っている内容は高度なものだと思いますが、生徒は興味を引かれたと思います。」
・「すばらしい教材と感動があった。熱い講師。もう少し実習があれば。」
・「40人前後の講義とサポート1〜2名がいて、能動的な作業を伴うことで生徒の理解はさらに深まると思う。情報教材としては内容的に質が高く、興味深い」
・「授業の全体構想としては良く考えられ、随所に生徒をひきつける工夫がなされていたと思う。」