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実践事例

情報セキュリティって何?
テーマ名
情報セキュリティって何?
実施学校情報
学校名 東京学芸大学附属高等学校大泉校舎
学年 高校1年生
生徒数 16名
実施日 2004年10月25日(月)
合計授業時間 100分
教科・単元 教科:情報A
単元:情報社会の光と影
授業概要 提案テーマは「情報セキュリティって何?」である。授業の中で情報通信ネットワークシステムが安全に運用される基盤である情報セキュリティに関して、公共ネットワークの危険さと現在の懸念点を理解し、安全なコンピュータ環境についての理解を深める。将来の情報産業の担い手に、知的財産立国たる日本のセキュリティレベルを向上させる意識を醸成する。

授業は2 時限を予定し、前半で情報セキュリティ侵害の危険性と、産業界が抱えている問題点を理解する。後半では、その対処方法と対策技術の説明を行い、対策の有効性を体験、実施できるようにする。理解度の確認のため、簡単なテストを実施し、知識の定着を狙う。
授業のねらい 本授業は情報C(4)の「情報化の進展と社会への影響」に焦点を当てている。
情報C(4)「情報化の進展と社会への影響」
ア) 社会で利用されている情報システム
社会で利用されている代表的な情報システムについて,それらの種類と特性,情報システムの信頼性を高める工夫などを理解させる。
イ) 情報化が社会に及ぼす影響
情報化が社会に及ぼす影響を様々な面から認識させ,望ましい情報社会の在り方を考えさせる。
学校の教員が行う授業、研修会社が実施する研修では利用者としての立場で語られる事が多いが弊社、マイクロソフトはソフトウェア会社として情報化社会を支えている立場で話しをする事ができる。生徒から見ると利用者・支える側の2つの視点から情報化の進展と社会への影響を考える事ができる。


授業内容(1時限目)
実施単位 5時限目
テーマ 情報セキュリティって何?
実施場所 学芸大学付属高等学校 大泉校舎 MM教室
実施時間 50分
講師 マイクロソフト株式会社 奥天
使用教材 (1) オリジナルテキスト
(2) 提示用Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント
(3) ウイルス疑似体験用ツール

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
「より身近なインターネット」、「身の回りに潜む危険について」、
「事故事例と背景」についてパワーポイントを使用し講義
・生徒による実習(3種)及び講師機を使ったデモ(2種)
・まとめ
*生徒はテキストのメモ欄にキーワードを書き込みながら授業を聞く

■内容
*より身近なインターネットと仕組みの説明
・データ送信の流れやプロトコルの説明
・総務省の統計資料をもとにインターネット普及状況の説明
*身の回りに潜む危険と事故事例の説明
・実際の世界とインターネットの世界での危険の比較
・IPA及びマイクロソフトの資料をもとに事故事例と状況の説明
*シミュレーションソフトを使った実習(3種)
・ソーシャルエンジニアリング
-トロイの木馬
(心の隙をつくもの。間違ってクリックする事によりPCのデータが全て削除されてしまう)
-ワーム
(知らずに添付のTextファイルをクリックする事によってPCがウイルスに感染してしまう)
-フィッシング
(ニセ銀行からの問い合わせに応える事によりIDやパスワードが盗まれてしまう)
*バーチャルPCを使ったデモ(2種)
・OSの脆弱性をついたもの
-攻撃をかけて相手のパソコンにファイルを書き込む
-画面上のアイコンにマウスでポイントするだけでexeが実行されてしまう。
*コンピュータ犯罪の手口は
 -使用者の心の隙を誘うもの
 -コンピュータの弱点を狙うもの の2種ある
(1)PPTを用いた講義


(2)生徒機での実習


(3)講師機を用いたデモ




授業内容(2時限目)
実施単位 6時限目
テーマ 情報セキュリティって何?
実施場所 学芸大学付属高等学校 大泉校舎 MM教室
実施時間 50分
講師 マイクロソフト株式会社 奥天
使用教材 (1) オリジナルテキスト
(2) 提示用Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント
(3) ウイルス疑似体験用ツール

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
・ウイルスの仕組みとターゲット」、「対処方法」についてパワーポイントを使用し講義
・講師機を使ったデモ(2種)
・まとめ
・クロスワードパズル
*生徒はテキストのメモ欄にキーワードを書き込みながら授業を聞く

■内容
*ウイルスの仕組みとターゲウイルス説明
-どんな人が行っているのか、なぜ悪いことをするのか、捕まえることはできないのか、つかまるとどんな裁きがあるのか
*対処方法
-ソフトの更新(ウインドウズ/オフィス アップデート)、防護壁(ファイアウォール)、ウイルス対策ソフトの導入
*デモ(2種)
-ファイアーウォールをONにする事により他のPCからの攻撃を防御する
-ウイルス対策ソフトにより、ウイルスの実行ファイルが削除される模様を確認
*トレードオフの説明
 -安全性と利便性のトレードオフ
*Windows(R) XP SP2の紹介
*まとめ
 コンピュータ犯罪への対策方法
 最終的には各人のこころがけが一番大事
*クロスワードパズル

(1)PPTを用いた講義


(2)講師機を用いたデモ


(3)クロスワードに 取り組む生徒たち




授業の成果
インターネットの犯罪など影の部分に対して、情報モラルの考え方の第一歩になったと思われる。授業中に具体的な犯罪の手口や、検挙による罪の重さなどの説明時には、非常に真摯なまなざしで話を聞いてくれていた。
ウイルスによる感染の様子や他のパソコンに侵入する様子を見て、驚きながらも危険性やそれに対する対応策について興味を持って学習してくれた。
授業実施環境
H/W 生徒1人1台のPC、インターネット環境
講師のデモンストレーション ノート PC 1台
講師のプレゼンテーション PC 1台(既存)
S/W Windows(R) XP(推奨)
  *他のWindows(R) OSの場合は生徒の実習はなく、講師によるデモとなる。

使用機材
教材1 講師用PPT
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)スライド50枚
内容 授業はPPTメインで行う。授業用のスライド。
・より身近なインターネット
・君は大丈夫?
・事故事例と背景
・ウイルスの仕組みとターゲット
・ウイルスが出来あがるまで
教材2 生徒用配布資料
教材仕様 A4 用紙紙50枚×生徒分コピー
内容 教材1の内容をA4の配布資料にする。
教材1のPPTをメインに作成するが生徒に記入させるためにメモ欄あり
教材3 シミュレーションソフト
教材仕様 コンピュータプログラム
内容 脆弱性を悪用した擬似攻撃プログラム
トロイの木馬
フィッシング
他のPCへの攻撃ツールなど
授業協力メンバー
授業実施責任者 セキュリティ レスポンス チーム
セキュリティ レスポンス マネージャ
奥天 陽司
授業実施担当者 セキュリティ レスポンス チーム
セキュリティ テクニカル リード
小野寺 匠
授業実施担当者 セキュリティ レスポンス チーム
セキュリティ スペシャリスト
佐々 吉弘
資料写真撮影 教育プログラム推進部
祖山 美晴
授業の感想 授業実施者
初めて生徒たちと対面することになるので、事前に授業のテーマに沿った議論なり、意見をいただけると授業内でのポイントを絞ることができ、より密な内容を提供できると思った。

担任の先生
現場にお互いが足を運び、企業側は学校の体制や生徒の理解を深め、学校側は授業の公開など企業側が把握しやすい状態を作ることが必要。

生徒
専門的なものを詳しく理解しやすく説明してくれた
実際に見せてくれたのがよかった
聞くことが多かったからもっとパソコンを使いながらの方がよかった
自分が知識があったらもっと理解できたと思う。

授業情報提供者
初めての授業実施という事で「授業実施がうまくいくか」、「生徒のウケがどうか」、大変気になった日だった。
1時限目に侵入等のデモを行う予定だったがパソコンがうまく動かず、結局2時限になってしまった。
1時限目予定のデモが遅れた以外は予定通りに進める事ができた。最後のクロスワードパズルの難易度を 気にしていたが2名くらいの生徒が全問正解する事ができた。1年生には少し難しいようだ。
授業終了後、河野先生よりもっと生徒の対話を持った方が良いとのアドバイスを頂いた。

オブザーバ
専門的な知識を必要とする内容なので、生徒にどこまで説明すべきかとても難しいところだと思います。今回のように高校一年生程度であれば、あまり一般的でない単語は使わずもっとなじみやすい言葉や話し方に気を使えば生徒の集中がもっと続いたと思います。 講義のパートでも生徒が集中力を切らせることなく受けることができる工夫があったと思います。