産業情報協力授業 教科「情報」サイト

実践事例

情報セキュリティって何?
テーマ名
情報セキュリティって何?
実施学校情報
学校名 都立墨田川高等学校
学年 高校2年生
生徒数 6名
実施日 2004年11月19日(金)
合計授業時間 90分
教科・単元 教科:選択講座「コンピュータ」
単元:情報技術の進展が社会に及ぼす影響
授業概要 提案テーマは「情報セキュリティって何?」である。授業の中で情報通信ネットワークシステムが安全に運用される基盤である情報セキュリティに関して、公共ネットワークの危険さと現在の懸念点を理解し、安全なコンピュータ環境についての理解を深める。将来の情報産業の担い手に、知的財産立国たる日本のセキュリティレベルを向上させる意識を醸成する。

授業は2 時限を予定し、前半で情報セキュリティ侵害の危険性と、産業界が抱えている問題点を理解する。後半では、その対処方法と対策技術の説明を行い、対策の有効性を体験、実施できるようにする。理解度の確認のため、簡単なテストを実施し、知識の定着を狙う。
授業のねらい 本授業は情報C(4)の「情報化の進展と社会への影響」に焦点を当てている。
情報C(4)「情報化の進展と社会への影響」
ア) 社会で利用されている情報システム
社会で利用されている代表的な情報システムについて,それらの種類と特性,情報システムの信頼性を高める工夫などを理解させる。
イ) 情報化が社会に及ぼす影響
情報化が社会に及ぼす影響を様々な面から認識させ,望ましい情報社会の在り方を考えさせる。
学校の教員が行う授業、研修会社が実施する研修では利用者としての立場で語られる事が多いが弊社、マイクロソフトはソフトウェア会社として情報化社会を支えている立場で話しをする事ができる。生徒から見ると利用者・支える側の2つの視点から情報化の進展と社会への影響を考える事ができる。


授業内容(1時限目)
実施単位 1時限目
テーマ 情報セキュリティって何?
実施場所 都立墨田川高等学校 コンピュータ教室
実施時間 45分
講師 マイクロソフト株式会社 奥天
使用教材 (1) オリジナルテキスト
(2) 提示用Microsoft(R)Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント
(3) ウイルス疑似体験用ツール

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1)「より身近なインターネット」、「身の回りに潜む危険について」、「事故事例と背景」についてパワーポイントを使用し講義
(2)生徒による実習(3種)を行なった
・まとめ
*授業記録用のビデオ撮影を行なった

■内容
*より身近なインターネットと仕組みの説明
・データ送信の流れやプロトコルの説明
・総務省の統計資料をもとにインターネット普及状況の説明
*身の回りに潜む危険と事故事例の説明
・実際の世界とインターネットの世界での危険の比較
・IPA及びマイクロソフトの資料をもとに事故事例と状況の説明
*シミュレーションソフトを使った実習
・ソーシャルエンジニアリング
-トロイの木馬
(心の隙をつくもの。間違ってクリックする事によりPCのデータが全て削除されてしまう)
-ワーム
(知らずに添付のTextファイルをクリックする事によってPCがウイルスに感染してしまう)
*ウイルスについて説明
*シミュレーションソフトを使った実習
-フィッシング
(ニセ銀行からの問い合わせに応える事によりIDやパスワードが盗まれてしまう)
*なりすましなどの手口について説明
*コンピュータ犯罪の手口は
 -使用者の心の隙を誘うもの
 -コンピュータの弱点を狙うもの
 の2種ある
(1)PPTを用いた講義

−授業映像−


(2)生徒機での実習

−授業映像−

■改善点
・ コンピュータの使用経験や所持などについて問いかけを行なった
・ 説明をしながらデモンストレーションを行なうように手順を変更
・ フィッシングが行なわれた際にWebページで入力されたデータが収集されている様子を実際に見せた



授業内容(2時限目)
実施単位 2時限目
テーマ 情報セキュリティって何?
実施場所 都立墨田川高等学校 コンピュータ教室
実施時間 45分
講師 マイクロソフト株式会社 奥天
使用教材 (1) オリジナルテキスト
(2) 提示用Microsoft(R)Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント
(3) ウイルス疑似体験用ツール

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1)バーチャルPCを使ったデモ(2種)
(2)「ウイルスの仕組みとターゲット」、「対処方法」についてパワーポイントを使用し講義
・講師機を使ったデモ(2種)
・まとめ

■内容
*バーチャルPCを使ったデモ(2種)
・OSの脆弱性をついたもの
-攻撃をかけて相手のパソコンにファイルを書き込む
-画面上のアイコンにマウスでポイントするだけでexeが実行されてしまう。
*「ウイルスの仕組みとターゲット」の説明
-どんな人が行っているのか、なぜ悪いことをするのか、捕まえることはできないのか、つかまるとどんな裁きがあるのか
*対処方法
-ソフトの更新(ウインドウズ/オフィス アップデート)
*デモ
-Windows Updateの仕方
-ファイアウォールを使用し、他のPCからの攻撃を防御する様子
*対処方法
-ウイルス対策ソフトの導入
*各対処法の説明のあとデモをそれぞれ行なった(3種)
-ウイルス対策ソフトにより、ウイルスの実行ファイルが削除される模様を確認
*トレードオフの説明
 -安全性と利便性のトレードオフ
*クロスワードパズルについては説明をしたが授業内では
行なわなかった
(1) PPTを用いた講義

−授業映像−


(2) 講師機を用いたデモ

−授業映像−

■改善点
・デモと説明を交互に行い関連付けができるようにした



授業の成果
インターネットの犯罪など影の部分に対して、情報モラルの考え方の第一歩になったと思われる。授業中に具体的な犯罪の手口や、検挙による罪の重さなどの説明時には、非常に真摯なまなざしで話を聞いてくれていた。
ウイルスによる感染の様子や他のパソコンに侵入する様子を見て、驚きながらも危険性やそれに対する対応策について興味を持って学習してくれた。
授業実施環境
H/W 生徒1人1台のPC、インターネット環境
講師のデモンストレーション ノート PC 1台
講師のプレゼンテーション PC 1台(既存)
S/W Windows(R) XP(推奨)
  *他のWindows(R) OSの場合は生徒の実習はなく、講師によるデモとなる。

使用機材
教材1 講師用PPT
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)スライド50枚
内容 授業はPPTメインで行う。授業用のスライド。
・より身近なインターネット
・君は大丈夫?
・事故事例と背景
・ウイルスの仕組みとターゲット
・ウイルスが出来あがるまで
教材2 生徒用配布資料
教材仕様 A4 用紙紙50枚×生徒分コピー
内容 教材1の内容をA4の配布資料にする。
教材1のPPTをメインに作成するが生徒に記入させるためにメモ欄あり
教材3 シミュレーションソフト
教材仕様 コンピュータプログラム
内容 脆弱性を悪用した擬似攻撃プログラム
トロイの木馬
フィッシング
他のPCへの攻撃ツールなど
授業協力メンバー
授業実施責任者 セキュリティ レスポンス チーム
セキュリティ レスポンス マネージャ
奥天 陽司
授業実施担当者 セキュリティ レスポンス チーム
セキュリティ スペシャリスト
山崎 雅樹
授業実施担当者 セキュリティ レスポンス チーム
セキュリティ スペシャリスト
佐々 吉弘
資料写真撮影 教育プログラム推進部
祖山 美晴
資料ビデオ撮影 OutPlanet-TV
白石・近藤
授業の感想 授業実施者
授業時間が45分と短かったが、集中した授業になった。
デモンストレーションを解説の合間に入れたことで、興味の持続が可能となり、結果として生徒の理解度の促進となった。

担任の先生
現場の教師からすればとてもスローな展開で、じっくりと言い聞かせるような語り口にとても参考になる点が多かった。
100の知識のうち10をわかりやすく教えることの効果を学びました。

生徒
ウイルスに感染したときのデモが実際に見れてよかった。
実践もいいけれど話を聞くのもよいと思いました。
いつもの授業と違った雰囲気の中で新しい知識が学べたところがよかったです。
しっかりと準備が整っており、スムーズでわかりやすかった。

授業情報提供者
人数が少なかったからか皆が集中して授業を聞いていた。
講師もだいぶ慣れてきたようだ。
一人パソコンに詳しい女子生徒がおり、講師の発問にも積極的に答えてくれ、いい雰囲気ができていた。
前回のアドバイス通り、授業→演習のサイクルを短くして生徒の興味を保つようにした。
時間の関係でクロスワードパズルは先生に実施頂く事とした。

オブザーバ
専門家と高校生の差は大きいなと感じました。ウイルスやトロイの木馬の例は、少しの知識があれば作れるということは分かっていても、教材化するためには心理的に大きな壁があると思います。それを取り払うために企業の方に努力していただければいいのかなと思いました。
セキュリティ対策というのは生徒に理解しづらい内容だが、デモを通し身近に感じられたのではないでしょうか。
ウイルスのデモ等を実際に見せていただけたことがよかったと思います。 企業からの講師による授業でよいのは、生徒だけでなく教師も学ぶことができるところだと思います。