千葉県・印西市のふたつの顔

自然いっぱい、歴史ある印西の大森

 今回(第11回)の受賞校の中で、内閣総理大臣賞の伊島小学校とともに多数の審査員から注目を集めた学校があった。千葉県印西市にある大森小学校だ。はじめての応募ではあったが、他のコンテスト等で全国的に知られており、応募作品の内容も「さすが!」と思わせるものだった。しかし、私が一番に感心したことは表彰式に来てくれた大森小児童の礼儀の良さだった。事前の呼びかけに応じて、参加した児童が思い思いの名刺を創ってきてくれたし、名刺の渡し方についても教わってきたことがすぐに分かった。コンクールで受賞している学校の多くは、地域の人々や専門家との接触が多くなるので、作品づくりに入る前に著作権や基本的なマナーを学習してから始まることが多いのだ。

 さて、印西市立大森小学校はJR成田線(我孫子・成田間)の木下(きおろし)駅にある。一時間に二、三本の運行ペースの路線(単線)だ。家を出てから、各鉄道の連絡が良かったので九時過ぎに駅に着いた。こうした運行ペースの少ない駅では、「見送り」「出迎え」などのドラマが狭い待合室で展開されることが多い。この日も待合室にはふたつの家族が来ていた。
 駅を降りるとホームページでも紹介されていた老舗のお煎餅屋さんが目に飛び込んでくる。はじめて降りた駅なのに不思議な感覚をおぼえる。ついでに電車から見えた「フトンショップ」の看板が気になって外から覗いてみる。とりあえず、普通の布団屋さんであることに安心して学校へと向かった。
 狭い踏切を渡って暫らくすると、学校へ案内する看板が見えてくる。右折し、住宅街を抜けると突き当たりに大森小学校の大きく立派な校札が見えてくる。この日の清々しい陽気も手伝って、私は自然に校門をくぐって校庭の中に入っていた。驚いたことに、駅から降りて学校へ来るまでの間に路でゴミらしきものを見かけなかった。そんな処にこの街の人たちの意識の高さを感じた。表彰式で礼儀正しかった大森小のこども達のベースはこうした処にもあるのかも知れないと・・・。

 まだ十時を過ぎたところ、予定では大森小学校から原山中学校を目指そうと思っていたが、時間があるので(気ままに)地図のない方角へ「みちくさ」をすることにした(まったく懲りていない)。
 駅に戻って、一区間分の切符を買う。十五分程待って、成田方面行きの列車に乗った。車窓には延々と田園風景がつながっている。減速をはじめた列車は次の駅に近づいたようだ。ホームによくある観光資源を書いた看板に「小林牧場」とある。どんな牧場だかわからないが気になって、ひと駅で降りてみることにした。
 結構な距離を歩いて到着した小林牧場は「牛」ではなく「競走馬」の育成や休養・調教を目的とした東京・大井競馬場の施設だった。春には桜並木道が名所らしく、今は散った桜が積もっていた。調教中の馬も見てみたかったが、次の目的があるので小林牧場を離れ、再び木下駅に向かった。「みちくさ」もあって、牧場へ向かう途中や帰り道で、自然いっぱいの印西の街を感じることができた。

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