産業界との協力授業
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実践事例
地域を支える房州ビワ〜その歴史と生産、流通を学ぶ〜
「ビワの流通」
実施した教育機関・生徒数・実施日
■千葉県富浦町立富浦小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第4学年 1クラス 38名 平成14年11月27日 1時間50分

■千葉県富浦町立八束小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第4学年 1クラス 9名 平成14年11月15日 1時間15分

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実施した教科・単元
■千葉県富浦町立富浦小学校
学年 教科名 単元
第4学年 社 会 びわ栽培のさかんな地域から
-飛び出せびわ探検隊

■千葉県富浦町立八束小学校
学年 教科名 単元
第4学年 社 会 地域向上に尽くした人々

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主催した教育機関
千葉県富浦町教育委員会
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授業概要
 新学習指導要領では「地域の産業や消費生活の様子、人々の健康な生活や安全を守るための諸活動について理解できるようにし、地域社会の一員としての自覚をもつようにする」として、地域産業を軸とした地域社会学習を重視している。
 枇杷の生産は千葉県富浦町一帯の主要産業であり、枇杷を中心にした加工品、観光産業なども展開され、町民の生活に深く根付いたものである。
 授業では機器の実習を多く取り入れた。枇杷の品質管理するための機器や、化粧箱(いろんな工夫があるが、気が付いてくれるか)、みかん、リンゴなどの糖度を測定する機器を見せ、感想・疑問点を記入して発表してもらう。
 直接疑問点には答えず、授業の中で児童達が自ら回答を見つけられるように展開する。流通の歴史、容器の工夫を教材と実物で説明。枇杷の品質を保つための方法を、新旧の機器を使って実演しながら説明。
児童達も実習する。その過程で一番甘いリンゴを見つけてもらう。日本の3大産地と富浦の立地について学習し、上記のリンゴで競り売りを行い市場の役割を理解する。最後に今回の一連の授業のまとめを説明し質疑応答を行う。
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授業のねらい
 今回は枇杷の出荷について流通の題名で、枇杷が生産農家からどのような流れで消費者まで届くのか、流通にかかわる人やシステムの役割を学習する。農協の役割と富浦町がおいしい枇杷をなるべく高く売れるようにどのように工夫や努力をしているかを学ぶ。おいしい枇杷の基準の一つに糖度があり、房州枇杷は大きさも重要で同じ大きさのものをそろえる(品質管理の概念)ための工夫、自分達の町が枇杷に支えられていることを学ぶ。
 さらに講師の話に合わせて該当する情報を表示するといったコンピュータ操作を可能にし、動画やFLASHなど最新のIT技術を使ったコンテンツでの学習方法を身につける。
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授業内容
実施単位 テーマ
5時限目 ビワの流通

実施場所 千葉県富浦町立八束小学校コンピュータ室
千葉県富浦町立富浦小学校4年生教室
実施時間 75分
90分
講師 安房農協八束支店 支店長
笹子 敏彦
使用教材 WEBコンテンツ、糖度計、デイタル式糖度計、非破壊式糖度計、音声重量選果機、重量計、化粧箱、枇杷の出荷標準規格表

授業の進行・内容 授業の様子

■進行
 枇杷の品質を保つための新旧の測定器、リンゴ、みかん(糖度測定用)、枇杷の化粧箱等を観察し、ビワノートに感想・疑問を記入し発表してもらう。
 講師に代わり、以下WEBコンテンツと持ち込んだ機器類を併用して説明。また講師が実演し、児童に実習してもらい理解の手助けとする。
出来た枇杷はどのようにして東京(江戸)へ運ばれるのか、歴史を追ってWEBコンテンツを使用して説明する。
 農協の役割を説明し、枇杷は大きさに分けて売られるので、新旧の重量計を説明する。音声重量選果機が非常に便利であるか実演。その後児童に使用させる。
 つづいて、枇杷の品質は大きさだけでなく、甘さ(糖度)が重要であり、どのようにして甘さを調べるか糖度計を使って説明。最新の糖度計を見せる。
 その後、リンゴやみかんで児童に糖度を計ってもらい、一番甘いリンゴを見つける。
 今まで富浦は東京に近くて有利だったが、九州からも枇杷が運ばれてくるようになったこと、市場はどのようなことをしているかを説明。
 先ほどの一番甘いリンゴで児童が競り売りをし、甘い枇杷は高く売れることを理解する。
 最後に、新しい販売方法を説明し、今回の全授業のまとめの質疑応答を行う。
 富浦小学校では広さを考慮して教室で実施した。ノートPC、プロジェクター、移動スクリーンを利用した授業となった。

■内容
0〜10分(担任の授業)
 机に並べた機器類や枇杷の化粧箱、リンゴ、みかんを触ったりして観察させ、ビワノートに感想や疑問点を書いてもらう。
 感想や疑問点を発表してもらう。
ここでは疑問点には答えず、授業の中で講師の話の中で答えを見つける。

 〜40分(笹子氏の授業)
 WEBコンテンツを使用して、どのようにして東京(江戸)へ運ばれていたのか、歴史を追って説明する。船、汽車、現在はトラックになったこと、枇杷を入れた容器も変わって来たこと、それは箱作りの手間や値段であること、枇杷を傷つけないで運ぶ工夫を説明する。
 笹子氏が勤務する農協の役割を説明、共同購入、検査など、小学4年生でもわかるように品質管理の概念を説明する。
 枇杷の大きさを揃えるはかりを使って仕分けするが、現在はどのようにしているか実演。
 音声重量選果機と普通の重量計を使用して、前者の方がどのくらい速く仕分けができるか競争し、その差を実感する。

 〜65分(笹子氏の授業)
 つづいて、枇杷の品質は甘さ、酸味、堅さもがあり、甘さをどうやって計るか糖度計を使って実演する。今までの糖度計は枇杷の皮を剥いて実を絞らないと測定できなかったが、最新式は枇杷に当てるだけで測定できようになったことを児童に実演させながら説明。児童達には持ってきたリンゴの中で1番甘いものを見つけてもらう。
 千葉県以外の2大産地(長崎、鹿児島)から飛行機などで東京に運ばれるようになり、富浦の枇杷が今までのように売れなくなるかも知れないことや、富浦の枇杷がどのように流通しているのか、マクロメディアFLASHアニメーションで説明。
 さきほど見つけた一番甘いリンゴを児童達に競り売りしてもらい、市場の役割を説明。
 最後に、教材によって宅配、インターネット販売、観光枇杷狩りについて説明して終わる。

 〜75分(笹子氏の授業)
 最後のまとめとして、富浦が枇杷町であること、みんなの中から、枇杷農家の人たちが喜ぶ、機械等を開発して欲しいと言う願いを込めて、質疑応答を行う。

机に並べられたものを観察
机に並べられたものを観察(千葉県富浦町立八束小学校)
(千葉県富浦町立八束小学校)

(千葉県富浦町立富浦小学校)
(千葉県富浦町立富浦小学校)

普通のはかりと音声重量選果機の便利さ比べ(千葉県富浦町立富浦小学校)
普通のはかりと音声重量選果機の便利さ比べ(千葉県富浦町立富浦小学校)

糖度計でリンゴなどの糖度を測定(千葉県富浦町立八束小学校)
糖度計でリンゴなどの糖度を測定(千葉県富浦町立八束小学校)

(千葉県富浦町立富浦小学校)
(千葉県富浦町立富浦小学校)

富浦から首都圏の市場、さらにお店へ運ばれる説明(千葉県富浦町立八束小学校)
富浦から首都圏の市場、さらにお店へ運ばれる説明
(千葉県富浦町立八束小学校)

まとめの質疑応答(千葉県富浦町立八束小学校)
まとめの質疑応答(千葉県富浦町立八束小学校)


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授業の成果

 出来た枇杷がどのように運ばれるか、品質を保つためにどのような検査をするか、なぜ行うのかを学んでもらう目的があったが、盛りだくさんであったためその一旦は分かってくれたようである。
 講師が教え方に慣れていて、両校とも2コマ分の授業になったが、実習を盛り込んだ授業でもあり、児童達も集中できた。
 最後に笹子さんから「みんなビワを好きなって欲しい」という呼びかけで終了したが、今回のプロジェクトの講師全員の枇杷に対する情熱は伝わったと思っている。
八束小は9人の授業で70分強かかった。富浦小はその4倍の人数であったため、機器類も4倍程度必要で集められるだけ集め、なんとか八束小と同等の授業ができた。その他、班に分けて実習したことで混乱をさけることができたが90分まるまるかかった。
 今回はいろんな機器類を使ってもらったが、授業中やビワノートを見ると、機器の機能よりネーミングに興味が向いている。「ピーチクパーチク」「アマミール」など。なぜ「ピーチクパーチク」と言うのか、「ピーチクパーチク」が引算で計っていることなど、他の科目へ発展することがあり、担任のフォローで別な授業で説明しますと言った場面もあり、今後の発展が注目される。
 市場の役割の説明で、児童に競り売りを行わせたが、4年生にはまだ意味がよくわかっておらず本来の効果はなかった。
 児童から「てきぼう、てきらいをやっているとき、ビワの葉が茶色になっていましたが大丈夫でしょうか」と講師に対して質問があった。
『ビワの葉が茶色になったのは、この間の台風の塩の害のため、1つのビワには最低でも5枚葉っぱが必要です』(講師)との適切な回答があり理解できていた。
 早速、八束小学校の枇杷の木の花もぎを実践したことは大きな成果である。すでに児童は帰宅していたが、講師が羽山教諭にもっと摘蕾した方が良いと指導してくれた。
 幸い笹子氏が勤務する農協は学校から近いので、いつでも質問に来るようにとの有難い言葉を戴き、産業界との交流もより近いものとなった。

改善案
1 授業の変更点があったら、担任の先生に前もって知らせる。
  当初の予定にない授業方法に急遽軌道修正。担任と打ち合わせを持てなかった。
2 機器類は4人に1台程度必要。
3 実物に触れさせ体験させること。富浦小学校の児童数だと適切な説明が出来る補助員が必要、教室内を巡回する。話法は二の次でよい。

児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート
児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート
児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート
児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート

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実施環境
実施場所 千葉県富浦町立八束小学校コンピュータ室
千葉県富浦町立富浦小学校4年生教室
使用した機器 PC(八束小10台、富浦小ノートPC1台)、プロジェクター
その他 八束小学校のサーバにコンテンツを設定し、LANによるファイル共有で参照。
富浦小学校ではノートPCにコンテンツを設定しローカルで参照。

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使用教材
教材タイトル 地域を支える房州ビワ(流通編)
教材仕様 WEBコンテンツ
HTML教材 4頁
  Macromedia(R)Flashアニメーション教材   2本
  静止画(JPEG)   8枚
教材概要 流通の歴史(どのように枇杷を運んでいたかを静止画中心で説明)
農協の仕事の説明用イラスト
現在の流通のアニメーション(九州からどのように運ばれてくるか、富浦からどのように首都圏に運ばれるかを説明)

教材タイトル ビワノート
教材仕様 PDFファイル。カラー印刷(A4、5頁)。
教材概要 今回の授業中に使用するノートで表紙と4回の授業ごとに1ページづつからなる。
各授業用は「感想」「初めて知っておどろいたこと」「もっとしりたいこと」「今日全体のこと(なんでも)」を記入できる欄をレイアウトした。

教材タイトル 糖度計、リンゴ、みかん
教材仕様 果物(枇杷も含む)の糖度を計測する機器
教材概要 旧式の屈折式糖度計とデジタル式糖度計(破壊型:果物をすりつぶす必要がある)
最新式の非破壊型デジタル式糖度計(果物に触れるだけで糖度を測定できる)
児童達に実際にリンゴやみかんの糖度を測定させる。

教材タイトル 計量器
教材仕様 果物の重量を計測する
教材概要 普通の家庭用の500g計(果物を1個づつしか計れない)
音声重量選果機(枇杷用に設定、数10個を乗せ、1個づつ取ると音声で大きさを発する)
重量が異なるみかんを100個程度準備。
2種類の重量計を比較していかに選別作業が楽になったかを実演する。
児童達にも使用してもらう。

教材タイトル 枇杷の化粧箱
教材仕様 農協で出荷販売向けに使用しているもの
教材概要 枇杷の季節ではないため、タマゴを入れて枇杷が傷つかないように工夫していることを示す。
またハウス枇杷と路地枇杷で箱が違うこと、数年毎にデザインを変更していることを示す。

教材タイトル 枇杷の出荷基準表
教材仕様 富浦町で定めたビワの出荷基準
教材概要 枇杷の実の大きさ(実際は重量)4L、3L、2Lの分け方、病気になったり、傷がついて出荷できない枇杷の写真を載せた一覧表。

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授業協力メンバー
所 属 氏 名 授業での説明
安房農協八束支店 
支店長
笹子 敏彦
講師 ビワの流通の説明
メディアアート 飯野 貴行
講師の補助
株式会社とみうら 渡邊 都史
講師の補助
富士通SSL 横溝 高一 コーディネーター

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授業の感想
■主催した教育機関

■授業実施者
(産業界講師)

・八束小では自分の子どもがいたし、他の児童達もみんな顔見知りでやりづらかった。
・実習中心でよかった
・ビワの時期に授業をやってもいい。皆さんにはこの時期は忙しいと気を使ってもらっているが、農協などは意外と忙しくないので協力します。
・市場流通の話が中心になり、宅配やインターネット販売等の新しい販売についての説明が不足した。

■担任の先生

・小学4年には全体的に難しい内容であった。私(佐野先生)自身が非常に勉強になった。難しい内容であったが、ビワは富浦町の産物だから必要な授業である。
・コンテンツは中学生でも使えると思うし、当然今後も使用できる。
・毎回、講師が変わり、専門家の方であるので、集中できた。
・ビワノートにはいろんなことが書いてある。
・動きのあるコンテンツは反応がよい。
・糖度計の利用実験等を通して、人々の努力への理解が深まった。
「楽しかった」「もっとやってみたい」等の感想が聞かれた。

■児 童

・白いはかりはみかんと取ると4Lとしゃべって計ってくれすごいと思った。
・いろんな道具を使えてすごくおもしろかった。
・60万円もするアマミールを使う人はいるのだろうか?
・いろんな機械があることがわかった。
・びわは甘さ、堅さ、酸味がひみつだとわかりました。
・糖度計は家にあるけど使い方は知らなかった。家で計ってみようと思います。
・流通は難しいと思ったけどわかりやすかった。

■オブザーバー

・富浦小は2コマの授業で長時間であったが児童もがんばっていたし、よく集中していた。
・コンテンツの中でも動くものに、児童がすばやく反応するのが見て取れた。
・反対に、写真と文章だけのコンテンツにはあまり興味を示さない児童もいたが、実験の後であれば、ある程度集中しやすいようだった。
・流通のFLASHアニメを見て驚きの声が上がっていた。
・コンテンツに屈折式糖度計の見方を入れていて、使いかたの説明に使用できたのはよかった。
・新旧の道具の比較が明確に伝わっていた。
・講師は剣道の先生をしているせいか、場慣れしていた。説明が上手かった。
・コンテンツの説明と実物の機器類を持ち込み、児童達にも自由に触らせたり実習させたことで、みんな活き活きとしていた。

■授業情報提供者

・すばらしかった。児童の興味が途切れなかった。
・最後に笹子さんから「みんなビワを好きになって欲しい」という呼びかけで 終了した。これは笹子さんの願いとともに富浦町の願いでもある。
 今回のプロジェクトの講師全員の枇杷に対する情熱は伝わったと思っている。
・笹子さんにいろいろ授業のアイデアを出していただき、良い方向に授業が 進んだ。
・学校側の了解を得ず独断先行となったが、成功だった。
・講師の笹子さん(剣道の先生、知っている児童もいた)が児童の前で話すのになれていて、かつ前回の授業から改善されたことも多々あり、内容が向上していた。
 時間に合わせ、途中PCがフリーズして再起動したときも、詳しい説明や質問の時間を取るなど機転を利かせていただいた。
・やはり、2コマ分の時間をとってもらってぎりぎりだった。もともとのコンテンツが多い上、児童主体の授業にするために実験を多くしたので時間をとってしまった。


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