産業界との協力授業
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実践事例
地域を支える房州ビワ〜その歴史と生産、流通を学ぶ〜
「ビワの栽培」
実施した教育機関・生徒数・実施日
■千葉県富浦町立富浦小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第4学年 1クラス 38名 平成14年11月21日 1時間50分

■千葉県富浦町立八束小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第4学年 1クラス 8名 平成14年11月13日 2時間

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実施した教科・単元
■千葉県富浦町立富浦小学校
学年 教科名 単元
第4学年 社 会 びわ栽培のさかんな地域から
-飛び出せびわ探検隊

■千葉県富浦町立八束小学校
学年 教科名 単元
第4学年 社 会 地域向上に尽くした人々

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主催した教育機関
千葉県富浦町教育委員会
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授業概要
 新学習指導要領では「地域の産業や消費生活の様子、人々の健康な生活や安全を守るための諸活動について理解できるようにし、地域社会の一員としての自覚をもつようにする」として、地域産業を軸とした地域社会学習を重視している。
枇杷の生産は千葉県富浦町一帯の主要産業であり、栽培の歴史も250年と古く、伝統的な栽培方法を守りながらも、品種改良や栽培技術・施設の改良に精力的に取り組んでいる。3回目の授業ではビワの品種改良、栽培技術の開発で功績を挙げ、枇杷研究の第一人者として国内外で知られている中井滋郎氏が講師になり枇杷を植物学的観点から学ぶ。枇杷はどこで栽培するのが良いか、教材を使用してクイズを出し児童に考えてもらう。その後教材を使用して枇杷栽培の適地はどこが良いか、富浦を例にして説明する。続いて、富浦の枇杷が大きくておいしいかを講義する。枇杷を阻害する病害虫についての説明とその防護策を学ぶ。
今回は富浦町の枇杷試験園へ行き実際に枇杷の木に触れ、摘蕾(てきらい)を行ないIT教材では分からない環境や枇杷の花に匂いがあることを学ぶ。
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授業のねらい
 富浦でなぜ枇杷が栽培されるのか、どうして大きい枇杷ができるのか、それを阻害する要因、苦労や工夫を学ぶことによって、枇杷生産に関わる人々に対する敬意と地域に対する愛着を育む。実際に花もぎを体験しその意味を学ぶ。
 さらに講師の話に合わせて該当する情報を表示するといったコンピュータ操作を可能にし、動画やFLASHなど最新のIT技術を使ったコンテンツでの学習方法を身につける。
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授業内容
実施単位 テーマ
1時限目 ビワの栽培

実施場所 千葉県富浦町立八束小学校コンピュータ室
千葉県富浦町立富浦小学校コンピュータ室
実施時間 各校45分
講師 株式会社とみうら 技術顧問
中井 滋郎
使用教材 WEBコンテンツ、ビワノート

授業の進行・内容 授業の様子

■進行
 担任主導で富浦の土地を示して山のどこに枇杷園があると枇杷が良く育つかクイズを出し、ビワノートに回答などを記入し発表してもらう。
 産業界の講師に代わり、WEBコンテンツを利用しながら、なぜ山の上の方が適地であるか、特に枇杷の木は何処でも育つが枇杷の実と気温の関係を示し、富浦が適地であることを学ぶ。
 続いて栽培の苦労や阻害する要因について学ぶ。
 最後に房州枇杷として、大きくおいしくするために、花摘みをすること。どのように行なうかを教材で説明する。
 八束小学校ではPCとプロジェクターを使用し、PC教室の会議宅に全員(8名)集まって授業した。
 富浦小学校では講師の紹介だけ教室で行い、すぐにPC室へ移動した。説明は講師用PCの画像を各児童が使用するPCに表示するように制御して行った。児童は2人で1台のPCを使用した。

■内容
0〜10分(担任の授業)
 プロジェクターに富浦をイメージした山のイラストを表示して、山のどこに枇杷園があると枇杷が良く育つか担任がクイズ形式で以下のような質問をする。
 寒害(担任が説明)と作業する人の苦労も考えて「あなたならどこでビワを育てたいですか」と、山の頂上付近、中腹、平地から選択して、ビワノートに記述する。
その後、児童達に自分が思った最適な場所について理由とともに発表させる。

 〜40分(講師の授業)
 児童達に考えてもらった意見を聞いた後で、適した場所について解説する。
 南東に向いた斜面でいかに、風と太陽の影響を受けるかをアニメーション化した教材を参考にして説明する。山の上の方が寒害を受けにくいことを説明し、ただし作業が大変であることを学ぶ。同時に山の各地点中腹、低いところや平地での栽培についても言及する。
 ビワがよくできるところが理解できたところで枇杷の成長を阻害する要因について説明する。
 病害虫に関する説明。
 ハウスビワ栽培の利点と問題点を学ぶ。
 この10月の台風で被害を受けたことも学ぶ。
 次の実習で行う、花摘み(摘房・摘蕾)は枇杷の実を大きくおいしくするために行うことを学ぶ。またどのように行うかをアニメーションで解説する。

 〜45分(講師の授業)
 時間があまれば、ビワノートに感想を書き、質疑応答を行う。

枇杷が良く育つ場所のクイズを担任が出題
枇杷が良く育つ場所のクイズを担任が出題(千葉県富浦町立八束小学校)
(千葉県富浦町立八束小学校)

(千葉県富浦町立富浦小学校)
(千葉県富浦町立富浦小学校)

路地枇杷栽培の適地の説明(千葉県富浦町立富浦小学校)
路地枇杷栽培の適地の説明(千葉県富浦町立富浦小学校)

マイクロバスで枇杷園へ移動準備(千葉県富浦町立八束小学校)
マイクロバスで枇杷園へ移動準備(千葉県富浦町立八束小学校)

大型バスで枇杷園へ移動(千葉県富浦町立富浦小学校)
大型バスで枇杷園へ移動(千葉県富浦町立富浦小学校)


実施単位 テーマ
2時限目 ビワの摘蕾(てきらい)体験

実施場所 富浦町枇杷園(大房岬)
実施時間 各校60分(移動時間を含む)
講師 株式会社とみうら 技術顧問
中井 滋郎
使用教材 枇杷園、ビワノート

授業の進行・内容 授業の様子

■進行
 八束小学校は株式会社とみうらのマイクロバスで、講師、担任、児童、オブザーバー全員、枇杷園(富浦町枇杷試験園)へ移動。
 中井氏の枇杷山の説明と、摘蕾の方法を実際の枇杷の木で行い、児童全員が枇杷の木1本摘蕾を行なう。
 最後に質疑・応答を行い、マイクロバスで学校に戻り終了。
 富浦小学校は38人と多いため富浦町の大型バスで移動、枇杷園まで乗り付けないため、片道10分弱徒歩。

■内容
0〜10分(移動)
 富浦町の枇杷試験園(大房岬、小学校からバスで約10分)へ移動

 〜45分(実習)
 再度、摘蕾の方法を実際の枇杷の木で実演した後、児童達が実習。
 富浦小学校は人数が多いため、4班に分かれ順に摘蕾を行う。
 枇杷の花の匂いがよいこと、防風林に守られていることを実物で学んだ。
 最後に、枇杷全般に関する質疑応答を行う。

 〜60分
 バスで学校へ戻り終了。


 富浦小学校の移動時間は八束小学校の経験を踏まえ、行き帰りのバスの車中でも質疑応答を行った。

マイクロバスで枇杷園へ移動準備(千葉県富浦町立八束小学校)
マイクロバスで枇杷園へ移動準備(千葉県富浦町立八束小学校)

大型バスで枇杷園へ移動(千葉県富浦町立富浦小学校)
大型バスで枇杷園へ移動(千葉県富浦町立富浦小学校)

摘蕾の実演(千葉県富浦町立八束小学校)
摘蕾の実演(千葉県富浦町立八束小学校)

これから児童達が摘蕾を行う(千葉県富浦町立富浦小学校)
これから児童達が摘蕾を行う(千葉県富浦町立富浦小学校)

ビワについて質疑応答(千葉県富浦町立八束小学校)
ビワについて質疑応答(千葉県富浦町立八束小学校)


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授業の成果

 授業内容は難しいものだったが、枇杷園での花もぎ体験学習を入れたことで成功だった。
 児童のアンケートやビワノートからもほとんどの児童達が、「花もぎができるようになった」、中には「てきらい」と書いている児童もいて、摘房(てきぼう)、摘蕾(てきらい)の言葉と概念が理解できた。
 中井氏は枇杷栽培、生産者に対する講義はよく行う専門家で、小学生相手はなかったとのことで、戸惑いや児童達に分かる言葉を選んでいることが、はためにも分かったが、上にも述べたとおり、枇杷園での体験学習で、すべて問題は解決した。
 児童とのやり取りで
「先生が一番好きな枇杷はなんですか?」
『房姫(ふさひめ)だね』
「どうしてですか?」
『私が、品種改良して作ったものだから』
 感嘆の声があがり、尊敬の念を育むことができた。
 本授業後、八束小学校では児童が、校庭のビワの木の摘房、摘蕾を行なった。
 児童達は花もぎした枇杷の木に非常に興味を持った。特に今後どうなるか、ちゃんとおいしい枇杷ができるか気になっていた。学校、富浦町に対して今後も引き続き授業の継続を願う。
 また、摘房、摘蕾という難しい言葉も覚え、早速実践していたことは大きな成果である。

改善点
1 先生の顔が良く見えるように、講師が巡回するなど工夫をする。
2 実地の際にはアレルギーの児童がいないか質問をして、注意事項を教える。
3 多数だと質問が終わらないので、進行者が区切る。
4 講師、コーディネーターも名札をける。
5 花もぎ以外のことも講師が話す(山で説明しやすい防風林など)。
6 屋外では講師はマイクを使う。
7 山では大人たちが、児童達が危険な目にあわないように注意する。

児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート
児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート
児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート
児童が記入したビワノート 児童が記入したビワノート

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実施環境
実施場所 千葉県富浦町立八束小学校コンピュータ室、富浦町枇杷試験園(大房岬)
千葉県富浦町立富浦小学校コンピュータ室、富浦町枇杷試験園(大房岬)
使用した機器 PC(八束小10台、富浦小20台)、プロジェクター
その他 両小学校のサーバにコンテンツを設定し、LANによるファイル共有で参照。

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使用教材
教材タイトル 地域を支える房州ビワ(栽培編)
教材仕様 WEBコンテンツ
HTML教材 4頁
  Macrmedia(R)Flashアニメーション教材   3本
  静止画(JPEG)   16枚
教材概要  山と自然の様子がアニメーションでわかり、ビワ園をどこに作ればよいのかというクイズを提出する。FLASHアニメーションを効果的に使用したもの。
 栽培に関する生理的な障害と病害虫に関して、写真と解説を豊富に取り入れたHTMLコンテンツ。
 花もぎをアニメーション化し、その効果を解説する。

教材タイトル ビワノート
教材仕様 PDFファイル。カラー印刷(A4、5頁)。
教材概要 今回の授業中に使用するノートで表紙と4回の授業ごとに1ページづつからなる。
各授業用は「感想」「初めて知っておどろいたこと」「もっとしりたいこと」「今日全体のこと(なんでも)」を記入できる欄をレイアウトした。

教材タイトル 枇杷園
教材仕様 摘蕾が実習できる枇杷の木
教材概要 授業に合わせ、摘蕾を児童全員が実際に行うことができる程度に花を残した枇杷の木。

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授業協力メンバー
所 属 氏 名 授業での説明
房州枇杷振興協議会 
会長
中井 滋郎
講師 ビワの栽培について説明
メディアアート 飯野 貴行
講師の補助
株式会社とみうら 渡邊 都史
講師の補助、バスの運転等
富士通SSL 横溝 高一 コーディネーター

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授業の感想
■主催した教育機関

・一般的に児童たちの聞く時間は10分だが、このプロジェクトでは毎回講師が変わり、コンテンツも目新しいので飽きていないようだ。
・講師・コンテンツデータなどが本物なので良い。
・既存の授業だと、写真と文章のみのコンテンツで、残りは農家を訪問するというパターンだが、ナレーションと映像が豊富なこのコンテンツの授業だと、児童の生活に反映されて生きて来る。
・富浦町としてのビワを強調しているので良い。社会科の目的に合っている。
・富浦のことを語れない児童が多い中、その状況を改善できるコンテンツだ。
・3年生以上の内容になるとうれしい。各学校がこの資産を活かした授業を来年から取り入れたい。
・ビワ農家の心意気は意外にも外の方に伝わっている。しかし、肝心の富浦の児童たちも知って欲しかった。
・「袋の違い」など絞ったテーマで、学校としては教材にしてみたい。
 袋に関して農家に聞いてみたりする授業ができる。
・社会科としては最終的に「お金をかせぐ」ということを目的としてみんながんばっているんだということを伝えたい。

■授業実施者
(産業界講師)

・児童に教えるのは難しい。
・専門的な話をどのように簡単に伝えるのかが大変だった。しかし、地元の児童なのでまあ分からないことはない。
・山で注意する毛虫は1種類だが今回は見なかった。
・児童がいろいろと疑問を持ち、質問してくれたので進行しやすかった。
・植物に興味のある児童もいたので将来が楽しみ。
・摘蕾としては時期的に遅く、花が硬くなり、児童達はやりづらかったと思われる。実際はもっと早い時期に行なうが、富浦小学校のために残していた。

■担任の先生

・自分達が住んでいる地域の産業である「枇杷作り」への関心がとても深まったと思う。
・花もぎ体験を通した学習では積極的に取組み「わかった」「楽しかった」との感想が多く聞かれた。
・花もぎ体験と花もぎをしないときのビワの成長シミュレーションなどを通して、生産にたずさわる人たちの苦労や工夫等へ関心が向いていた。
・地域の人や知り合いの人の育成する花もぎ体験。ビワの成長シミュレーションなどを通して、生産にたずさわる人たちの苦労や工夫はよく理解しようとしていた。

■児 童

・またここ(枇杷園)に来たい。
・私達が摘蕾した枇杷の木がどうなっているか知りたい。
枇杷の実を食べたい。
・ビワの花がよいにおいだった。しらなかった。

■オブザーバー

・バスの中では、木に登らないこと、毒虫に注意すること等、山での注意事項を話すと良い。
  (富浦小学校では実施した)
・毎回、前回の反省がフィードバックされていて良かった。
・コンテンツのナレーションが授業中には消され講師の言葉で説明があったので良かった。
・山での実習では児童たちが元気でよかった。
・富浦小は人数が多いので、大丈夫だろうか?
 移動に時間がかかるし、山での目が行き届くのだろうか?
(富浦小は監視の人員を増やして対応)
・ビワ園では、班別になって、監督しやすかった。
・難しい授業内容で大丈夫かと思ったが、実習でその心配が吹っ飛んだ。
・質問が途切れなかったので、PC教室での時間が長かった。
・教室の構造(PCの陰)で、先生の顔が見えずに集中が途切れる児童がいた。

■授業情報提供者

・季節的に寒くなっていたのが残念。
・児童たちは、外に行くと生き生きするので良かった
・4回の授業の中で、中井先生の授業が一番難しいと思われ、野外での授業を盛り込んだのは正解だった。こちらで設定した授業のストーリーも成功したと思われる。
・富浦小は38人と多く、統制できるか心配だったが、担任の先生のおかげで事故もなく問題ない進行だった。
 また役場、枇杷倶楽部から人を出していただきありがたかった。
・枇杷園では、富浦小の場合はマイクを首からぶら下げて説明した。
・花を触りたくない児童が数人いたのには驚いた。
 あとで、アレルギーの児童だったと分かり配慮がたりなかった。
 そうかと思うと、ビワの花を抱えこんでいる児童もいた。
・花もぎしたビワの木が今後どうなるのか知りたい児童も何人かいたので、 来年の6月にどうなっているか見せていただきたい。
・移動で片道10分程度の歩きの時間が以外に効果的だった。
 児童達と話しながら歩け、互いに打解け合えたと思われる。
 それで上記のような質問や要望にも聞けた。家のことを話してくれた児童もいた。
 教室で話すより、今回のようにちょっとした遠足気分は良かった。


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