兵庫・岡山県:あの巣塔をさがして

あの巣塔をさがして

 長い梅雨に痺れを切らしてまた旅に出かけた・・・。東京から徳島へ大移動と共に関西で4つのアポイントを一日で一気にこなす。翌日の午前中に最後の予定をすませて、今回は大阪を基点に一筆書きをすることにした。みどりの窓口には結構人が並んでいた。実はその並んでからもまだ行き先を決めかねていた。はじめに豊岡市の新田小学校に行くことは決めていたが、その先に関しては全く決めていなかったのだ。同じ兵庫県内の越知谷小学校にまわるか、もう一足伸ばして津山へいくかを考えていたのだ。私の順番が近づいてきた。

「豊岡を朝に出て、昼頃までに津山に入ることはできますか?」

 昨日から梅雨がぶり返す予報で、たくさんの荷物を抱えながら山道を歩くのは厳しいかと思いはじめていた。若いオペレータだったが、きびきびとコンピュータを操作し、時刻表でみたものより2時間早いコースを選び出してくれた。(・・・っさすがぁ)

 豊岡から日本海を回って、中国山地を横切って岡山から、東京に戻る乗車券だけを手にホームに向かった。今回は43年ぶりにコウノトリの巣立ちを体験した兵庫県・但馬地方の豊岡にある新田小学校を目指して先ずは北へ。特急に飛び乗ってまもなく車掌がきたので、特急券を買ってすぐに眠りについた(前日は立て込んでいたからなぁ・・・)。

 大阪から2時間半ほどで豊岡に、まだ3時前だった・・・。このまますぐに学校に向かえば放課後の子ども達にも会えるかも知れないと思い、肩に食い込む荷物をホテルに落として新田小学校を目指した。いつもなら歩いて向かうところだが、行きはタクシーを使った。陽の高いうちに学校についてからゆっくり歩いて街を見て帰って来ようと考えたのだ。目的地までは思った以上に距離があり、どうやらその選択は正しかったようだ。

 学校には着いたが、すでにヒッソリとしていて子ども達の姿はなかった。隣接した保育園に最後の子どもさんをお迎えにきた車が去ったあとは誰もいなくなり、やけにまわりの音が敏感に感じられるようになる。実家のそばに小学校があったので、夕方以降の子どものいない物悲しい学校の光景には見慣れていた。どこでも子ども達が引き上げた小学校は急に電源コードが外れた掃除機のように萎んでしまうのだ・・・。

 気を取り直して、あの巣塔を探し始める・・・。学校から近い筈だという甘い考えで前日に地図を見て確認しておけば良かったと反省した。後悔した。

(約1時間くらいは、同じところを行ったり来たり・・・)

 コウノトリが飛んでいれば直ぐにわかったんだろうが、巣塔は周りの電柱に見事に馴染んでいてわからなかった・・・。何度も地元の方に「新田小学校の子ども達が観察している巣塔なんですがぁ・・・」と聞きながらようやく見つけた。近づいて巣塔を見上げる写真を撮っていると・・・コウノトリが近づけなくなるからと注意された。
(またしても反省)

 30分ほど遠巻きで粘っていると・・・ついに・・・。地元の人から「もう巣立ったから行ってもいないよ!」と言われていたので、半分あきらめていたのだが。

日ごろのおこないが良かったようだ。(多分違う!)巣塔に舞い降りるコウノトリにも逢えた。あたりがピンク色にかわり始めたので、円山川を眺めながら宿に向かう・・・(2008.6.27/kun.)

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