長い寄り道・小松島市〜三加茂町

お饅頭を探して、途中下車

 今回の取材は、台風のこともあって「伊島」だけでも充分に取材できればと考えていた。予想以上に順調に取材が済んだことや荒れた天候も落ち着いてきたので、少し寄り道をすることにした。
 伊島へ向かう牟岐線沿線は豪雨とまっくろな曇り空が交互に現れた不安定な空だった。雨音が弱まったのを感じたとき、車窓からみえた駅の名前は「南小松島」だった。ふと、第8回のコンクールで経済産業大臣賞を受賞した南小松島小学校の「お饅頭」が頭に浮かんだ。この時の表彰式では当日まで、受賞者に賞名を明かさなかったので、児童や生徒が参加しにくかった。南小松島小学校もそのひとつだった。表彰式には、いろんな地域と世代から受賞者が集まってくるので、そこで新しい出会いも拡がる。しかし、その貴重な体験をさせるために東京まで子供たちを引率するのはとても大変なことなのだ。それは充分認識している。この旅はそうした先生たちの大変さを知るための旅でもあるのだ。

 という訳で、徳島へ向かう途中の「南小松島」までの切符を買った。JR牟岐線はほぼ一時間に一本の運行なので、次の電車が来るまでの「寄り道」のつもりだった。この日は「台風一過」の一日。ホームから引き寄せられるように駅舎のある方向に向かった。実はこれが大失敗で、南小松島小学校は降りたホームのすぐ傍にあったのだ。つい反対側の駅舎へ出たためにかなり遠回りで小学校まで行き着くことになってしまった。

 事前に調べておけば良かったのだが、何も情報を持たずに街を歩くと「地図」の重要性がよくわかる。街のいたる所に「住宅地図」があるのだが、意外とこれが役に立たない。それもその筈で、まったく見当違いの方向に出たためだ。しかし、私が小学校の位置を事前に調べていたら、無駄なルートは通らずに直行したために、この「街」の表情を捉えにくかったかも知れない。おかげでいろんな“狸”にも出会った。ただ心残りなのはお饅頭を売っている和菓子屋さん(山陽堂)を見つけられなかったことだ。東京に戻ってから調べて見ると、かなり近づいていたらしい。・・・うーん残念!

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