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学年 |
クラス |
生徒数 |
実施日 |
合計授業時間 |
第5学年 |
1クラス |
40名 |
平成14年
10月7日、8日
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10時間00分 |
学年 |
教科名 |
単元 |
第5学年 |
総合的な学習の時間 |
いまに生きる先人の知恵を新聞にしよう! |
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− |
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総合的な学習の時間においては、地域や学校、児童の実態等に応じ創意工夫を生かした教育活動を行うことになっていることや小学校5年社会科における「我が国の農業や水産業」「我が国の通信などの産業」および国語科「話すこと・聞くこと」「書くこと」の学習内容を踏まえ、本授業では、総合的な学習の時間で実施の稲作体験活動の発展学習として、米の生産を支える農機具に関わる農機具製造業を取材先にし、農機具の内容と歴史や農家の声を生かした農機具開発など「ものづくり」に目を向けさせるため農機具製造の熊谷農機を見学取材する新聞づくりを行う。新聞の基礎理解・制作手法や過程については、パワーポイント・HTML・PDF・MPEG1動画等の教材により解説し、取材視点・方法・取材実施とデジカメ写真撮影・原稿作成については、新聞記者がデスク役としてあたり、電子編集作業をまじえた本格的な新聞づくりの活動を行う内容とする。
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学習指導要領に照らし「創意工夫を生かした特色ある教育活動を通し、児童がものの考え方を身に付け、探求活動に主体的、創造的に取り組む態度を育てる」という考え方を念頭おき、地域産業と自らの稲作体験活動とを関連付けて理解し、地域産業の取材活動と取材成果を情報発信することに意欲的に取り組むことができる授業を実施する。
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実施単位 |
テーマ |
1時限目 |
「新聞の理解、取材の仕方・記事の書き方」 |
実施場所 |
升潟小学校・視聴覚室 |
実施時間 |
90分 |
講師 |
新潟日報社
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使用教材 |
Microsoft PowerPoint 「めざせ新聞の達人!米の挑戦者を調べて伝えよう!」<升潟小学校版>、新潟日報朝刊(平成14年10月7日)、朝刊バックナンバー(平成3年10月7日)、PDF号外(平成14年6月15日)、全国紙と専門紙・業界紙、「めざせ!新聞の達人」、「ミニミニブック新聞づくり入門」、HTML「新聞をつくろう」(新聞ってなあに?・新聞が届くまで・新聞記事とは・新聞記事の書き方・取材のしかた・写真のとり方) |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
パワーポイントを中心にして内容ごとに配布の新聞や印刷教材等を使用して「新聞の理解、取材の仕方・記事の書き方」を講義する。
■内容
・授業概要の説明。稲作体験活動と関連のある地域の産業を調べ、わかったことを新聞という手段で多くの人に伝える。
・新聞の認識を把握。質問「新聞を読んでいる人はいますか?」「どの面(ページ)をよく読みますか?」
・新聞とは何か。(用語、構成、工夫、特徴、種類)
・他のメディアとの比較。(テレビニュースと比べる)「ニュースや出来事を伝える点でテレビと新聞では、どんなことがどう違いますか?」
・新聞の制作過程。(取材、編集、紙面審査、整理、印刷、配達。取材記者を強調する)
・取材の仕方。(名乗ること、明確な質問内容、必ずメモ)
・撮影の仕方。(撮影許可を得る、縦位置と横位置を撮る、足下に注意、必ずメモ。デジカメ撮影体験演習)
・記事の書き方。(事実と考えの区別=作文との違い、結論を先にして短くまとめる、すばやく・正しく・わかりやすく)
・記事、見出しの作成演習。(授業日の朝刊掲載の出来事を事例に、講師主導で児童に問いかけながら具体的に作成、作成後に朝刊と比較) |

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「新聞の種類」

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「記事の書き方」 |
実施単位 |
テーマ |
2時限目 |
「取材テーマと取材打ち合わせ」 |
実施場所 |
升潟小学校・視聴覚室 |
実施時間 |
90分 |
講師 |
新潟日報社
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使用教材 |
Microsoft PowerPoint 「めざせ新聞の達人!米の挑戦者を調べて伝えよう!」<升潟小学校版>、新潟日報朝刊(平成14年10月7日)、「めざせ!新聞の達人」、「ミニミニブック新聞づくり入門」、HTML「農機具の歴史」、農機具「唐箕」クラフト教材、取材カード、新聞割付見本、表町小学校児童作成「表町小大地新聞」、土沢小学校児童作成「土沢小きりで新聞」、村松東小学校児童作成「村松東小あくしゅ新聞」 |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
パワーポイントを中心に使用して、取材先となる農機具製造メーカーの熊谷農機の存在を示し、現代の農機具にも生かされている原理を理解するためにHTML「農機具の歴史」による解説および農機具「唐箕」クラフト教材の製作と収穫米による選別実験を実施したうえで関係する取材テーマの大枠を提示し4班に分かれ取材活動で実施する具体的な質問内容を打ち合わせて決定させる取材指示を出す。班別の活動では、記者が一人ずつデスク役で担当し、取材内容の整理や目標とする新聞割付見本や他校児童作成の新聞により記事の体裁を解説する。
■内容
・取材先企業の紹介と特徴解説。(トラクターなどの付属農機具開発による大型農機の有効活用、農家の声による農機具開発を行う)
・HTML「農機具の歴史」により主な農機具の変遷を押さえ、「唐箕」を紹介する。
・農機具「唐箕」クラフト教材の製作と選別実験。(最初の農機具といわれる「唐箕」の仕組みや原理の理解、学校田収穫米の活用)
・取材指示。(4つの大きな取材テーマを提示)
・4つの班分けと班別に大きな取材テーマを決定する。
○工場の様子と製品
○農家の声を生かす農機具づくり(声の内容)
○農家の声を生かす農機具づくり(製品)
○今に生きる先人の知恵や工夫
・記者章の授与。(こども記者としての意識付け)
・班内を3つの小グループに分ける。
・小グループ内の役割分担決定。(取材記者、写真記者)
・小グループごとに取材内容(質問内容)の打ち合わせ。
・取材内容を取材カードに記録。
A班:工場の様子と製品
質問1:製品の主な種類
質問2:売れている農機具は何
質問3:売れる・人気の理由は
B班:農家の声を生かす農機具づくり(声の内容)
質問1:なぜ農家の声を生かすか
質問2:一年間で集まる農家の声の数
質問3:どんな農機具に農家の声が多いか
C班:農家の声を生かす農機具づくり(製品)
質問1:一番苦心して開発した農機具
質問2:農家の声が製品になるまでの時間
質問3:農家の人は喜んでくれるか
D班:今に生きる先人の知恵や工夫
質問1:唐箕の仕組みは今も使われているか
質問2:昔の知恵や工夫が生かされているもの
質問3:社長さんが昔の人が偉いと思うこと
・取材道具・機器の準備。(取材カード、デジカメ、フロッピーディスク、探検バック、筆記具)
・質問とメモの練習。(大きな声でゆっくり、すばやくメモ)
・デジカメ撮影の練習。(大きさのわかる工夫、縦位置と横位置) |

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「取材先の紹介」

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「唐箕の組み立て」

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「選別実験」

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「取材打ち合わせ」 |
実施単位 |
テーマ |
3時限目 |
「見学取材:熊谷農機」 |
実施場所 |
熊谷農機・工場 |
実施時間 |
120分 |
講師 |
熊谷農機
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使用教材 |
取材カード |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
工場内の農機具製造工程、レーザーカッティングマシン、開発中の農機具、製品展示室において社長より解説を受け見学し、デジカメ撮影ポイントでの撮影を行う。見学後、会議室で記者会見形式で児童が取材(質問・撮影)を行う。
■内容
・多種にわたる農機具製造工程の見学。
・全自動レーザーカッティングマシンの見学。(騒音など労働環境への配慮や効率的稼働のため夜に稼働、取材カードに記録)
・開発中の農機具として「業務用炭焼き機」を見学。(果樹園経営者の要望による枝打ち廃材処理用)
・製品展示室を見学し農家の声による育苗箱運搬機など開発品の代表例の解説を受ける。(取材カードに記録)
・見学時に許可を得てデジカメ撮影。(取材カードに記録)
・会議室において記者会見形式で取材実施。(班別の小グループ単位で実施=各班で3つの質問・全12の質問、回答を取材カードに記録、他の班やグループの質問・回答もメモ)
・屋外で工場全景をデジカメ撮影。 |

熊谷農機工場での授業風景
「工場の見学取材活動」

熊谷農機工場での授業風景
「製品の見学取材活動」

熊谷農機工場での授業風景
「記者会見形式の取材活動」 |
実施場所 |
升潟小学校・視聴覚室 |
実施時間 |
180分 |
講師 |
新潟日報社
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使用教材 |
新潟日報朝刊(平成14年10月7日)、取材カード、新聞原稿用紙、「めざせ!新聞の達人」、「ミニミニブック新聞づくり入門」、新聞割付見本 |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
取材カードの記録から新聞原稿用紙を使って記事を書き、デジカメ写真から掲載用の写真を決定し写真説明文を書く。出来上がった原稿を電子編集し、指示のあった字数で見出しを作成。ゲラ刷りを全員で紙面審査したのちに本刷りして新聞を完成する。作業全体を作業項目別に配置した進行表(板書)により各班ごとに進ちょく状況をチェックさせ作業の流れを常に確認させる。
■内容
・題字の決定。
・取材カードをもとに新聞原稿用紙で原稿作成。
・写真決定と説明文作成。(サムネイル印刷一覧で選択)
・原稿のワープロ入力。(補助員とともに)
・原稿と写真の電子入稿。
・電子編集。(講師による)
・見出し作成、講師とともに電子編集体験。(トップ記事担当の班は、リード文も作成)
・紙面審査(国語辞典、電卓を使用)と本刷り。
・感想発表と講評。 |

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「原稿作成」

升潟小学校視聴覚室での授業風景
「ワープロ入力」 |
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総合的な学習の時間で児童が取り組んでいる稲作体験活動は、米の生産に関わる部分であるが、本授業では、その生産活動を支える農機具の原理や仕組みをクラフト教材製作体験や収穫米を活用した選別実験により理解するとともに、農機具がどのようにして開発、製造されているのかを児童自らが取材し解明するにいたった学習といえる。
稲作地帯に存在し農家の声を生かす農機具製造業の存在とそのこだわりの内容、先人の知恵や工夫が今も製品として生かされていることなどを理解でき、稲作体験活動と関連する学習機会となったことと稲作と関わりのある地域の産業を見直す機会づくりになったと考える。
さらに、見学取材学習の活動に新聞づくりの手法を取り入れ、見学取材先や見学取材内容の事前理解・検討を十分に行い、視点や質問点を明確に持った活動を行い、それらの学習記録を「新聞形式による学習発表」とせず新聞記者の指導により取材事実で構成された「新聞に則った学習発表」として広く多くの人に「情報発信」することの意味を示せたといえよう。
授業内容において新聞や新聞制作に関係する内容が多くを占めているが、それらを理解することが主たる目的ではなく、社会科や総合的な学習の時間において重要な取材先(学習対象)の事前調査や視点・考え方を明確にした取材活動(学習活動)と、その記録のまとめ(レポート)や表現手法(レトリック)を、より主体的かつ意欲的に推し進める目的を概ね達成できたと思われる。
また、静止画・動画を組み込んだ講師のプレゼンテーション、デジカメの使用や原稿のワープロ入力による電子入稿、電子編集状況の投影と電子編集体験、カラーレーザープリンタによる高画質・高速印刷など情報機器および情報化社会に触れる機会づくりともなった。 |
実施場所 |
・升潟小学校 視聴覚室
・熊谷農機 工場 |
使用した機器 |
・ノートPC、プロジェクター、スクリーン、カラーレーザープリンタ、デジカメ、書画カメラ |
その他 |
国語辞典、電卓 |
教材タイトル |
「めざせ新聞の達人!米の挑戦者を調べて伝えよう!」<升潟小学校版> |
教材仕様 |
Microsoft PowerPoint ファイル |
教材概要 |
授業概要、新聞の目的と特徴、制作過程、取材の仕方、記事の書き方、取材先の概要、取材テーマを静止画・動画をまじえて解説。 |
教材タイトル |
新潟日報朝刊(平成14年10月7日) |
教材仕様 |
印刷 |
教材概要 |
授業日当日の新聞紙面確認用。 |
教材タイトル |
新潟日報朝刊バックナンバー(平成3年10月7日) |
教材仕様 |
印刷 |
教材概要 |
新聞の資料性の説明用。 |
教材タイトル |
PDF号外(平成14年6月15日) |
教材仕様 |
PDF |
教材概要 |
号外説明用。 |
教材タイトル |
全国紙と専門紙・業界紙 |
教材仕様 |
印刷 |
教材概要 |
新聞の種類説明用、全国紙に朝日・読売・毎日と専門紙・業界紙に日経・株式・農機・将棋を使用。 |
教材タイトル |
「めざせ!新聞の達人」 |
教材仕様 |
PDF |
教材概要 |
新聞の目的と特徴、制作過程、取材の仕方、記事の書き方、写真の撮り方を静止画をまじえて新聞形式で解説するPDF小冊子。 |
教材タイトル |
「ミニミニブック新聞づくり入門」 |
教材仕様 |
PDF |
教材概要 |
新聞の制作過程、取材の仕方、記事の書き方、写真の撮り方を静止画をまじえて豆本形式で解説するPDF小冊子。 |
教材タイトル |
「新聞をつくろう」(新聞ってなあに?・新聞が届くまで・新聞記事とは・新聞記事の書き方・取材のしかた・写真のとり方) |
教材仕様 |
HTML |
教材概要 |
新聞の目的と特徴、制作過程、取材の仕方、記事の書き方、撮影の仕方を静止画・動画をまじえて解説。 |
教材タイトル |
「農機具の歴史」 |
教材仕様 |
HTML |
教材概要 |
主な農機具について江戸時代から現代までの変遷概説用。 |
教材タイトル |
農機具「唐箕」クラフト教材 |
教材仕様 |
現物(段ボール製) |
教材概要 |
最初の農機具といわれるもみ殻・ゴミと玄米を選別する「唐箕」の仕組みや原理をその製作、選別実験で理解する。 |
教材タイトル |
「取材カード」 |
教材仕様 |
Microsoft Word ファイル |
教材概要 |
取材テーマ、質問・回答、撮影内容の記録用紙。 |
教材タイトル |
新聞割付見本 |
教材仕様 |
Microsoft Word ファイル |
教材概要 |
題字・見出し・記事・写真の配置・サイズ確認用。 |
教材タイトル |
表町小学校児童作成「表町小大地新聞」 |
教材仕様 |
印刷 |
教材概要 |
題字・見出し・記事・写真の配置・サイズ確認用。 |
教材タイトル |
土沢小学校児童作成「土沢小きりで新聞」 |
教材仕様 |
印刷 |
教材概要 |
題字・見出し・記事・写真の配置・サイズ確認用。 |
教材タイトル |
村松東小学校児童作成「村松東小あくしゅ新聞」 |
教材仕様 |
印刷 |
教材概要 |
題字・見出し・記事・写真の配置・サイズ確認用。 |
教材タイトル |
新聞原稿用紙 |
教材仕様 |
Microsoft Word ファイル |
教材概要 |
1ページ11字×5行の原稿用紙。 |
所 属 |
氏 名 |
授業での説明 |
新潟きょういく通信 |
吉川近志
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補助員 |
新潟大学教育人間科学部 |
内山渉
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補助員 |
新潟大学教育人間科学部 |
蓮沼和歌子
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補助員 |
新潟大学教育人間科学部 |
河野恵里子
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補助員 |
■授業実施者
(産業界講師) |
稲作体験活動と取材テーマに関係する興味や関心への高まりや記者会見で児童の質問が途切れることなく発せられたことは、ふだんの担任の指導力が起因していると思われた。また、取材先企業の児童への回答は、専門的にならず子ども向けでわかりやすかった。
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■担任の先生 |
児童が続けてきた稲作体験活動と農機具の模型製作体験や農機具メーカーへの取材と新聞づくりが見事に結びついた授業であった。
また、多くの教材を使ったことや専門家の指導、専門家との協調活動により、今後の学習活動に生かせるメモする力、書く力、伝える力がついたと思う。
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■生 徒 |
わたしたちは、取材に出かける前に段ボールの、とうみの、も型を作りました。設計図を見たときにはどんな形になるのか見当がつきませんでした。だんだんできあがってきて人の力で風を起こすとうみの仕組みがよく分かりました。わたしの班は一番最初にできあがりました。米ともみがらを混ぜたものを入れて回してみたら、米ともみがらがきれいに分かれて出てきました。むかしの人はすごいものを考えたんだと思いました。
今、使われている農機具にとうみの仕組みが使われているかどうかを新聞にするために取材に行くことにしました。取材で大切なことは聞いたことを正確にメモすることだと教えてもらい、熊谷農機に出かけました。とうみが今でも鉄で作られていることや人の力ではなくモーターで動くこと、とうみの他にもだっこく機やまめこきという機械がむかしの知恵を使っていることなど、記者会見で答えてもらったことをメモし、新聞記事にすることができました。
むかしの知恵が今の農機具に生きていることやメモの大切さがよく分かりました。
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■教育関係の立場から |
事前に唐箕の模型を組み立て、実験をしたことで農機具メーカーへの取材により得られた回答が単なる文字情報だけの存在でなく、聞く者・答える者双方に共通認識を持て、より具体的な理解へとつながったと思われた。
児童達がたいへん多くの質問とメモをていねいに実施し、新聞づくり全般を楽しんでいた。
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