ネットワーク利用提供環境事業 100校プロジェクト 平成8年度共同利用企画

4.9 企画「特殊教育」の実施報告書

目 次

4.9.1 はじめに

4.9.2 特殊教育における広域ネットワークを活用した教育のあり方と展望

4.9.3 利用企画の取り組み

4.9.4 インターネット利用におけるアクセシビリティの研究

4.9.5 特殊教育諸学校におけるインターネット活用実践と利用企画実践報告

4.9.6 ネットワーク利用の技術的な課題

4.9.7 教育利用についての効果・課題

4.9.8 特殊教育からの提言

4.9.9 まとめ(今後の課題と展望)



ネットワーク利用企画「特殊教育」の実施

心身に障害をもつ児童生徒に対する、インターネットをはじめとした広域ネットワークを活用した指導のあり方について、東京都立光明養護学校における「特殊教育におけるインターネット活用に向けての指針」、福島県立盲学校における「特殊教育関連ホームページの作成」のふたつの利用企画を通して実践研究を行った。

障害児にとって、障害とその結果生じる移動上の困難などの社会的不利を補う有用な手段として、コンピュータと広域ネットワークの活用は大きな期待を集めている。しかし、運動機能や感覚機能に障害をもつ場合、機器を操作するにあたって適切な入出力の手だて(アクセシビリティ)を講じる必要があり、マウス等のポインティングデバイスの代わりに個々に応じたスイッチやセンサー等を接続したり、WWW画面を音声で読み上げる工夫など、両校を含むいくつかの先進的な学校で様々な試みが行われている。

こうした条件整備のもとに指導を進めた結果、子どもたち自ら自己発信を行う意欲が高まり、積極的に自校ホームページなどで社会への関わりと交流を求めた。他校や多くの方々の支援や反響を得ることができ、子どもたちの社会参加意欲をさらに高めることに成功した。どうしても関わる社会の範囲が狭くなりがちな障害児にとって、インターネット等を介した交流は新しい社会参加形態として、「積極的に社会に関わり、自らを表現していこうとする意欲と勇気を与える」というこれまでにない大きな教育的成果をあげた。

なお今後の課題としては、教育課程への位置づけの検討に加え、より個に応じたアクセシビリティ機器の開発と普及、通信費の減免も含む回線設備等インフラの整備が必要である。また指導できる人材の育成や様々な専門機関による支援体制の構築が急務といえる。





企 画 名:特殊教育におけるインターネット活用に向けての指針

企画提案者:東京都立光明養護学校 伊藤守

企 画 名:特殊教育関連ホームページの作成

企画提案者:福島県立盲学校 渡辺雅彦